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「アルセーヌ・ルパン資料室」特設ページ【ラ・シャンブル・ダルセーヌ La chambre d'Arsène(Le petit musée privé sur Arsène Lupin au Japon)】

アルセーヌ・ルパン研究史において、この方のお名前とその貴重で膨大なコレクションの事は、ご紹介せずにはおれません。

ルパン研究家の住田忠久氏

日本のルパン同好会の方たちともお付き合いが深く、また、モーリス・ルブランの伝記を書いたフランスのジャック・ドゥルアール氏にも資料を提供するなど、アルセーヌ・ルパンについて本国フランスの研究家にも引けを取らないくらいの多くの深い研究や解説を僕たちに残してくれています。

そのコレクションが収められた『ラ・シャンブル・ダルセーヌ La chambre d'Arsène(Le petit musée privé sur Arsène Lupin au Japon)』――通称『アルセーヌ・ルパン資料室』はお宝の山。まさに『奇巌城』です。

写真の掲載許可を頂いたので、その一端を是非、お楽しみください!

ラ・シャンブル・ダルセーヌ / La chambre d'Arsène
(Le petit musée privé sur Arsène Lupin au Japon)
通称『アルセーヌ・ルパン資料室』
反対側の棚にもルパン全集がびっしり。ブラヴォー!
偕成社やポプラ社のルパン全集はもちろん、保篠龍緒版の全集や
ドラマ版ルパンのDVDやビデオなども揃っている
ピエール・ラフィット社から出た、雑誌装の普及版アルセーヌ・ルパン叢書。
レオ・フォンタンが描いた表紙が、シルクハットにモノクルのルパンのイメージを決定づけた?
本文にはこのコスチュームの記載はほとんど無し。
ただし当時の紳士のスタンダードな服装であったので、間違いとは言えない。
右上には、ジャン・クロード・ブリアリ演じた『813』のルパンが!
ちなみにレオ・フォンタンが表紙絵を描いた叢書は雑誌装の普及版。
最初の単行本ではないそうです。

「最初の単行本」は写真のもの。
上段左から、日本で言う『怪盗紳士ルパン』『ルパン対ホームズ』『戯曲アルセーヌ・ルパン』
下段左から『奇巌城』『813』そして『アルセーヌ・ルパンの数十億(最後の事件)』ですね。
写っているのは上段左から
①ジャック・ベッケル監督映画「怪盗ルパン」の日本版スピードポスターと劇場ポスター
②タツノコプロ「怪盗ルパン 813の謎」の劇場版ポスターと劇場パンフレット
③ルス・ローランド主演の映画「赤輪」(当時の雑誌でのルビは「せきりん」)のポスター
④同じく「赤輪」のテーマソングの楽譜
⑤ジョン・バリモア主演「アルセーヌ・ルパン」
⑥チャールズ・コーヴィン主演の「ルパン登場」
⑦メルヴィン・ダグラス主演の「アルセーヌ・ルパンの帰還」のロビーカード
(映画館のエントランスなどに飾られる映画の名場面の写真を色刷りにしたカード)
⑧下段左端はバリモアの「アルセーヌ・ルパン」のポスター画像
⑨その隣は同映画のベルギー版ポスター画像を復刻した物
住田さん所有のルパンスタイル!
トップ(シルク)ハットにマント!
これは、英米版の初版本だそうです!
これはフランスのドラマ版『アルセーヌ・ルパン』花盛り!
ルブランの息子さんも認めた最もルパンらしいルパン、ジョルジュ・デクリエール!
そして下段左と中央は『帰ってきたアルセーヌ・ルパン』のフランシス・デュノワイエかな。
左上には東映の『ルパン対ホームズ』が!

以下、住田さんが解説してくれました。

「写真に写っているのはドラマ化作品のルパンが表紙を飾った放送当時のテレビ雑誌各種と、オペレッタ「銀行家アルセーヌ・ルパンの楽譜」、ドラマや映画、アニメ化作品のサントラレコードと
そのカバー・シングルの数々です。」

なるほど!
日本人としては、この日本版ルパンの歴史も興味深いです!
以下、住田さんの解説を掲載します。

「写真に写っているのは全てポプラ社から刊行されたルパン本です。
上段は「怪盗ルパン全集」以前に出た「世界探偵名作文庫」の保篠訳ルパン本全4冊。
下段は左から南洋一郎板「怪盗ルパン全集(1)」(奇巌城)、
別叢書「世界の名作」の「怪盗ルパン(1)」(奇巌城)、「怪盗ルパン(2)」(怪人対巨人)、
「世界名探偵シリーズ」の「名探偵イジドール・怪盗ルパンの冒険」(奇巌城)です。」

「下段は全て南洋一郎の全集版を流用した物ですが、挿絵が新たに描かれているので、単なる異装本ではなく、これらでしか見れない挿絵があるので蒐集の対象となっています。」

とのこと。素晴らしい!欲しいです!
これは南洋一郎先生の別名、池田宣政名義でのアルセーヌ・ルパン全集。
これ表紙良いですよねえ。これ欲しいんですよね…。
池田名義のは南名義よりも原典に近い訳なのかな。(南版は児童用の超訳なので。)
タイトル、どれがどの作品か考えちゃうのありますねw

以下、住田さんの解説。

「池田名義の『アルセーヌ・ルパン全集』は、山中峯太郎の『名探偵ホームズ全集』や南版『怪盗ルパン全集』が脚色が多く、原文に忠実ではないとの批判を受けた事により生まれた全集で、ホームズの方は峯太郎版を絶版にして、パシフィカや創元推理文庫のホームズ・シリーズでお馴染みだった阿部知二訳で同様の箱入の新版『名探偵ホームズ全集』が刊行され、後にこの版下を流用して、怪盗ルパン全集に似せたカバー装(但し元の本のサイズが違うのでルパン全集より背が高く同じ本棚に収まらない)でも再販されています。」

「当然ながら池田版もより原文に近い「翻訳」になっていて、これでしか読めない訳文なので貴重です。表紙と口絵を手掛けたのはターザン・シリーズなど、SF作品の装丁画で海外からも評価されている武部本一郎が描いています。」
こちらも住田さんの解説を頂きました。

「武部本一郎は、版元の異なる『奇巌城』の児童向け邦訳書の装丁を3度も手掛けています。
常にルパン、レイモンド、イジドールの3人が描かれている点、
そのイメージするキャラクターが一貫しているのが興味深いです。」
これも保篠龍緒先生の怪盗ルパン全集。前のとは違うバージョンですね。
保篠龍緒先生はルブラン先生と翻訳権を結び、何バージョンもルパン全集を出されてます。
日本のルパン受容史における、飛び切りの功労者です。
装丁画がまた凄いなあ。迫真の細密画で一世を風靡した椛島勝一画伯だそうです。
これも保篠龍緒先生の怪盗ルパン全集の続き。
絵は、場面を切り取ったような選択なのですな。どれも臨場感スゴイ。
椛島画伯はこの他にも三木書房版のルパン等にも表紙絵や口絵を描いていて、
ルパンファンの蒐集の対象になっているそうです。確かに素晴らしい絵。欲しい…!
これは背表紙。住田さんからご説明を頂きました!

「椛島勝一が表紙を描いた叢書は、三木書房から全15巻の予告の元に刊行されたのが最初で、表紙から裏表紙まで繋がる1枚のカラー挿画で装丁された叢書でしたが、だれも全15巻を確認した者がおらず、未だに何巻まで出たのか謎です。」

「その後、その叢書の表紙絵の一部を切り取って表紙に用いた写真に写っているモス・グリーンのカバー装の靑葉書房版『怪奇探偵ルパン』が出ました。こちらも巻末広告では「青い眼の女」まで告知されていたのですが、現在までに確認されているのは「バルネ探偵局」までの12冊です。
一緒に写っている『青い眼の女』は先の三木書房版で補巻しました。本当は椛島の表紙全体を飾った三木書房版を揃えたいところですが、現存数が少なくてなかなか手に入りません。」

との事です!
ポプラ社南洋一郎板の怪盗ルパン全集も装丁が何バージョンもあるんですね!
僕が持っているバージョンとは、内装がどれとも違う!
背表紙もこんなに違う!
僕が持っているのに近いのは、右から2番目ですね。
これは再びフランス版。それに英語版、日本語版もありますね。いろんな『奇巌城』です。
左上はルパンが載っていた雑誌、『ジュ・セ・トゥ』!


住田さんがお持ちの資料はまだまだありますが、このページでのご紹介はここまでです。住田さんのアカウントを載せておきますので、是非フォローして貴重な資料の数々をご覧ください!

【ルパン資料室 館長】

  • 住田忠久氏

【SNS】


また、住田さんともお付き合いの深い、日本の歴史ある「ルパン同好会」についての入会案内のページへのリンクも載せておきます。フランス本国の「アルセーヌ・ルパン友の会(ASSOCIATION DES AMIS D'ARSENE LUPIN /A.A.A.L.)」の入会案内も載せていますので、合わせてこちらも是非!

以上です!

『ルパン帝国再誕計画』は、アルセーヌ・ルパンファンの世界がどんどん盛り上がっていく事を願って活動しています。ご一緒にアルセーヌ・ルパンの世界を堪能しましょう。


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