『いやいやながらルパンを生み出した作家 モーリス・ルブラン伝』発売/ジャック・ドゥルワール著
【2019年9月26日】フランス本国のルパン研究家第一人者、ジャック・ドゥルワール先生のルブラン先生の伝記が、2019年9月26日に発売されました。タイトルは『いやいやながらルパンを生み出した作家 モーリス・ルブラン伝』。
ルブラン先生が本来は文学を志し、ルパンは最初は編集者ピエール・ラフィットに勧められて一度限りの短編のつもりで書いた事は良く知られているお話ですが、「いやいやながら」というのはなかなか思い切った…しかしキャッチ―なタイトルですね(笑)。個人的には、最初はそうだったとしてもどう見ても途中からはノリノリで、特に『奇巌城』から『813』『水晶の栓』までは内容的にもいやいや書いたとは思えないほど神がかっていると思っています。舞台化も手掛けていますし。
後年のインタビューで「ルパンとの出会いは最初は事故だった。だけど幸運な事故だった」との言葉も残っているので、ファンとしては良い出会いであったと思いたいところです。
とはいえ帯にある「ルパンが私の影ではなく、私のほうがルパンの影なのだ」という言葉も有名ですし、晩年はルパンが忍び込んでくることを恐れて警察に相談し、別荘の裏口を釘で打ち付けたというし(エトルタのルパン荘にその釘の後が残っています)、やはり複雑な思いはついて回ったんだろうなあ。
なんにせよ僕(森田崇)も断片的な情報しか知らないので、こういったまとまった形でルブラン先生の伝記が読めるのは非常に嬉しいです。翻訳に大感謝!