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『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』現況報告と今後の展望(2023.03.20現在)


1,現況報告

【1】ルパン帝国再誕計画立ち上げによる『813』始動~現在まで

お待ちくださっている方はご承知の通り、2023年3月20日現在、長らく『813』の更新が止まっております。この記事では、『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』813篇の連載の現在の状況と、今後の展望をご説明します。

ご存知の通り、講談社イブニングでスタートした『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』は、次いで小学館系列のヒーローズでの連載が『奇巌城』編で終了して以降、『813』の執筆体制からは従来の「漫画家が原稿料をもらって」出版社主導で連載する方法ではありません。

『813』スタート時に設計したのは、あくまで大本の権利は弊社(漫画家)が持った上で、「電子配信は大洋図書さんを通じて」「紙書籍はぴあさんを通じて」「kindleは弊社エギーユ・クルーズからの直接配信で」という三社合同体制でそれぞれの分野で権利と利益を分散した契約書を交わし、始動したものです。

が、この体制は残念ながら早々に、『813』上巻が出た時点で(主にコロナ禍のために)ほぼ頓挫してしまいました。そしてその後、それに代わるマネタイズの体制を構築する事ができておりません。

弊社のkindle専売に戻すことによって状況を打開しようと試みましたが、ファーストペンギンだった再誕計画スタート時に比べて大出版社各社様も電子に参入した事もあり、この売り上げだけで製作費をペイできるほどの収入は見込めませんでした。ここに至って一旦スタジオ維持を断念せざるを得ず、打開策が見つかるまで更新も止めることになり今に至っている…という状態です。

余談ですが、一人でチビチビ描いて更新…という事も考えて少し試したのですが、力足りずとんでもなく時間がかかる事になり、また、少なくとも章ごとには連続してお届けしたいという思いもあり、描き溜めができるまで断念する方向になりました。クオリティを落としたくもないですし。

加えて言うと、新たなマネタイズを確立しないまま描いても(つまり描いても収入に繋げる当てがないと)自分の貯蓄がただ減っていくだけで数年を待たずに人生が詰むので、次の勝算が整うまでとても描くのに専念できる状態ではなく、何とか次の手を…と模索する方に力を割いている感じです。

【2】海外展開

一方『ルパン帝国再誕計画』を立ち上げて出版社連載とは違う方法でアルセーヌ・ルパンを描き続けようと決意した時の【勝算】の二大柱は

●電子化直接配信

●海外展開

でした。

電子化直接配信は一定の成功を収めて話題となりましたが、時代が進んでライバルも多く参入し、現在は上記の通り、これだけでは今までのスタジオワークが維持できるまでの収入は見込めません。以前の成功はあくまで既刊10巻分の財産あってのことで、要は一時金であり、無くなったら終わりなもの。残念ながらこれで新作を黒字で製作していける計算には届いていない…という事です。

一方、もうひとつの柱。「海外展開」

こちらは長い間フランスの出版社のKUROKAWA様(ヒーローズ版をフランスで出してくださっていた出版社です。ヒーローズ様との契約解除に伴いKUROKAWA版も絶版になっておりました)と直接連絡を取ろうと努力してまいりましたが、2021年の11月、ようやく連絡を取り合う体制を整えられました。ありがたいことに、KUROKAWA様の方でも『ARSENE LUPIN(怪盗ルパン伝アバンチュリエ)』を再出版したいと思って下さっており、相思相愛で直接の再契約が実現したわけです。

フランス版の出版は改めて日本のkindle版の『再誕計画版(つまり完全版)』に基づき、『怪盗紳士ルパン』から『奇巌城』までの全10巻の完全版で刊行する事となり、2022年の4月よりスタートして、2023年3月現在9巻まで刊行しております。紙で出てる完全版は現在フランス版だけ!

フランス版怪盗ルパン伝アバンチュリエ、その名も『ARSÈNE LUPIN』

さて、問題はその成果。売れたかポシャッたか。

この結果が『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』の未来を決めると言っても過言ではないので、ここ数ヵ月、ずっとヤキモキしております。

その結果は…?

実はまだ2022年1年間の具体的な数字はわかりません。

契約では12月締めでそれから90日以内に報告&入金、となっているので、今まさに、ドキドキしながら、胃を痛くしながら待っているところです。90日以内なのでまさに3月一杯で数字がわかるはず。

とはいえ実は9月の時点で、1巻発売から3か月目(3巻分)までの中間報告(6月締めまでの分)は頂いております。

この中間結果は上々!

発行部数ではなく実売で日本での部数を上回る勢いで、フランスの人口が6000万ほどであり日本の人口よりもずっと少ないこと、いくら日本漫画ブームとはいえ漫画人口になるとさらにずっと少ないであろう事を考えると、この数字は「大成功」と誇っていいと思っております。(さすがアルセーヌ・ルパンの国!)

2,今後の展望

【1】勝利条件

以上を踏まえた今後の展望。連載継続への「勝利条件」です。

まず、フランス版の中間報告は満足行くものでした。この後の2022年下半期も同じような成功が続いていれば、それを踏まえて次の手を打てると思っております。

一方、この後にガクッと失速し、入金がビックリするほど少ないとなれば、連載継続に黄信号…場合によっては赤信号と言わざるを得ません。

いや、先方の予算でフランスのイベントにご招待して頂けるわけですからそんな事はないと思いますよ。多分これはイケルだろうなとは思っております。

思っておりますが、蓋を開けてみたら全然、という事はあり得ますので(今まで何度そういう憂き目に…)とにかく今は胃が痛い。

なので、その報告を今、ヤキモキして待っているわけです。

また、フランス版の成果が今想定している通りであればそれで解決かというと、そういうわけではありません。

残念ながらこの想定通りに成功しても10冊合わせて入金は1000万という所なので、1冊にすると100万円程度。これだと『813』以降の新刊のマネタイズとして計算できません。

これを踏まえて次に打とうと思っている手は、「フランスでこれだけ売れたのだから、他の国にも進出すればけっこう売れるのでは?」という手段。

もちろんフランス本国だからこそ『アルセーヌ・ルパン』が売れたという側面はあるのですが、それでもやはり海外ではアルセーヌ・ルパンの名前はいまだ強い部分もある。先程は触れませんでしたが、Netflixのオマール・シーの『LUPIN』が世界的大ヒットで、それがキッカケにフランスでのルパン再ブームでもあるので、これは世界でもある程度通用するはず。2023年にはシーズン3が始まります。

数か国分集めればかなりのものになるはず。ウォーズマン理論です。

引用:『キン肉マン』

というわけで、フランス版のヒットを踏まえた次に打ちたい手は、さらなる世界展開

現在、フランスとの仲介をお願いしている仲介会社に、ヨーロッパの各出版社への打診をお願いしております。欧州6カ国ほどとは伝手があるみたいなので、これも現在胃を痛くしながら結果をヤキモキ待っているところ。

ここで業界の方にお願いなのですが、もし海外の出版社、もしくは仲介会社さんに伝手のかある方がいらしたら、僕にご連絡を頂けないでしょうか。

特に、ヨーロッパに関しては今の仲介会社さんの伝手で行けそうな気がしますが、中国、韓国、台湾、タイ、フィリピンなどのアジア方面への伝手が全くありません。

契約成就の場合はマージンなどもお支払いいたしますので、是非ご連絡を頂ければ幸いです。

現状はこんな感じです。

今打診してもらっている6カ国すべて契約成就したとてまんま「6倍」になるとは思いませんが(フランスはやはり特別売れたと思われるので)、2倍、3倍になれば、1冊100万だと新作制作は不可能なところ、1冊200万、300万の予算が見込めることになり、希望は見えてくる。さらに展開する国を増やせば、ますます安定するわけです。1カ国、1出版社に頼るよりもリスクは小さくなりますし。(どこかの国でポシャッても即詰みにはならない)

というわけで、最初にお話した「連載継続への勝利条件」です。まず

●フランス版の2022年の全結果が想定通り、もしくは想定以上

これはマスト。次に

●次いで2023年中に他の国でも出版し、さらなる世界展開をする

この2条件です。

この前提条件を応援してくださっている皆さんと共有して、勝利の暁には一緒に喜び合いたく、このたびの報告になりました。

一方、フランス版下半期の結果があまりにも思わしくなかったら黄信号もしくは赤信号なので、アバンチュリエ連載凍結も視野に入れざるを得ません。

急に結果だけお知らせして「連載断念」と言われるのは青天の霹靂かと思いますので、憂いも喜びも皆さんと共有いたしたく、このたびの発表に踏み切った次第です。

【2】最後に

現在、フランス版の成果を信じて、今、見切り発車で新スタッフを雇い、『813』の原稿の再ダッシュを始めてます。

やっぱりスタッフがいると強い。

見る見るうちに原稿が進んでとても楽しいです。

現在、できれば5月の再スタート、遅くとも6月の再スタートを目指しておりますが、新しいスタジオ体制でまだ進行状況が読めないこと、また、先ほどご報告した通り今月末からフランスである事を考えると、ちょっと確約ができない状況です。

完全に原稿が上がる確信が持てたら改めてご報告いたしますので、引き続きご注目いただけると幸いです。

正直今回スタッフを雇って再ダッシュを始めたのは、自分的にはかなりの賭けです。(人件費がかかりますので。)

なので、結果が思わしくなかったらアバンチュリエ凍結もいったん視野に入れて、仕事を探すことも考えるでしょう。まずはスタジオを復活させたい。
その辺もご理解下さると幸いです。

背水の陣です。
そのあたりの覚悟も共有いたしたく、このたびの発表となりました。
以上です!

【3】追記

あ、さらに一言。

今描いてるアバンチュリエ『813』の続きがめっちゃ面白いので(自画自賛ではあるが原作が素晴らしいのです!)、やっぱりこれをお届けしたい!

くっそ面白いですよ。まじで。



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